浮気調査前の基礎知識

浮気調査に違法性は?合法と違法の境界線はどこにある?

浮気調査に違法性は?合法と違法の境界線はどこにある?

「夫・妻の行動が怪しい!」
これ以上我慢したくないし、このまま放置しておきたくないから、浮気調査をしてはっきり白黒をつけたい。

浮気の事実関係と相手の出方によっては、離婚も辞さない。

など、探偵事務所に浮気調査を依頼する方の動機は、このような考え方が多いでしょう。

しかし、浮気調査は慎重に行うことが肝心です。

いくらあなたが裏切られた立場で「自分は悪くない、悪いのは浮気をしている夫・妻や浮気相手だ!」と言えども、見境なく行き過ぎた行動を取ってしまうと違法行為と捉えられる事があります。

そうなってしまうと、あなたの立場が悪くなってしまう可能性もあります。

この記事では、浮気調査における違法性について、浮気調査と切っても切り離せないプライバシーの問題について触れています。

探偵が行う浮気調査の違法性のボーダーラインは?

探偵事務所に浮気調査を依頼するあなたとあなたの夫または妻は夫婦関係にあります。

『結婚相手の不貞』と『調査対象が配偶者』という2つの理由があると、浮気調査における合法と見なされる範囲は広くなります。

だからといって、何をしてもいいわけではありません。

探偵事務所に相手に関することであれば何を依頼しても良いというわけでもありません。

一線を越えてしまうと、配偶者や配偶者の浮気相手から訴えられることもありますし、逆に配偶者から離婚を求められたり慰謝料請求をされてしまうこともあります。

探偵事務所の届け出がない浮気調査は違法

まず、探偵事務所が探偵業を行うには「探偵業の業務の適正化に関する法律」に基づく必要があります。

探偵事業者が置かれている都道府県を管轄する都道府県公安委員会に、称号または名前、住所などを記載した届出を提出しないといけないと定められています。

つまり、この届出を提出していない探偵事務所は探偵業を行うことはできないのです。

もし、この届出をしていない探偵事務所に浮気調査を依頼してしまうと、調査自体が無効となるとともに、あなたが依頼した内容も違法となってしまう恐れがあるのです。

まずは、探偵事務所が公安委員会に届出をしているか注意しましょう。

契約を結ぶ前の尾行や張り込みは違法

「探偵業の業務の適正化に関する法律」では、探偵事業者に対して、調査対象者への「尾行」「張り込み」「聞き込み」の3つを探偵業務として許可しています。

したがって、依頼者と探偵事務所が正式な契約を交わした後であれば、第三者である探偵事務所スタッフが調査対象者を尾行することについて違法性はありません。

逆に、依頼人が探偵事務所に相談はしたものの、まだ契約締結をしていない状況においては、調査対象者を尾行したり張り込みをする行為は、プライバシーの侵害に該当してしまいます。

サスペンスドラマなどを見ていると、配偶者の浮気に心を痛めている主人公の代わりに、主人公の友人や兄弟が配偶者の尾行や張り込みをして真相をつかむといったシーンがあります。

ですが、この行為はプライバシーの侵害に当たります。

ドラマではOKかもしれませんが、実際の生活においてはNGなので私達は行わないようにしましょう。

違法性ありとされる調査業務の例


あなたの依頼した探偵事務所が公安委員会にちゃんと届出をしており、その事務所と正規に契約を結んだと仮定します。

ただ、契約さえ結べば状況を選ばず尾行や張り込み、聞き込みができるというわけではありません。

実際に「探偵業の業務の適正化に関する法律」の第6条においても、

探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない

と明記されており、法に触れるような探偵業務を行うことはご法度となっています。

具体的には、

  • 調査対象者や浮気相手の住居や部屋などに断りもなく出入りする(住居侵入罪)
  • 浮気の証拠をつかむために、手紙を開封する(信書開封罪)
  • 手紙を無断で調査対象者の家から持ち出す(窃盗罪)
  • 電話の盗聴や通話内容の入手(盗聴器を設置すること自体は罪を問われませんが、無許可で他人の住居に侵入すれば住居侵入罪になりますし、盗聴した内容を傍受すれば有線電気通信法違反の対象となります)
  • 盗聴器を仕掛けに調査対象者の家に侵入する(住居侵入罪)
  • 浮気相手の車にGPSを取り付けたり、ICレコーダーを取り付ける行為(プライバシーの侵害)

などは全て違法になる行為です。

これらを行ってしまうと、調査対象者から損害賠償を請求される恐れもあるので、調査依頼人は違法にならない範囲で調査を行うように依頼しましょう。

夫・妻のスマホ等のデータ(SNS等)に勝手にアクセスするのは違法

上記以外にも、現代のIT社会を反映するような違法行為がいくつかあります。

探偵業者があなた(依頼人)と協力して調査対象者のスマートフォンやPCのパスワードを勝手に解析するという行為は違法になります。

また、遠隔アプリなどを用いて調査対象者が利用している「Webサイト」「メールサービス」「SNS」などのIDやパスワードを入手してメールなどを閲覧したり、ID・パスワードを所有者になりすまして利用するのは、不正アクセス禁止法違反に該当します。

携帯電話やPCから浮気相手とのコミュニケーション履歴を追跡するというのは真相を掴むのに有効な手段かもしれませんが、勝手にパスワードを入力する行為や通話内容、SNS上でのやりとりに関するデータを入手するのは違法になります。

上記のようなプライバシーの侵害に当たる行為を行わないようにしましょう。

パソコンやスマホのデータを抜き出すソフトも違法

こちらも依頼人が調査に協力をする前提ではありますが、調査対象者のPCやスマートフォンにこっそり移動履歴や通話履歴を取得することができるアプリを無断でインストールする事。

そのアプリを起動させて調査対象者のプライバシーを盗み見るという行為を行った例がありますが、これは不正指令電磁的記録供用罪に該当します。

最近では、スマートフォンユーザーの利用実態(ユーザビリティー)を把握する目的で、スマートフォンにミラーリングができるアプリをインストールしてユーザビリティーを検証するといった調査も行われていますが、それを悪用してしまうのは困ったものです。

浮気調査で盗聴器を仕掛けるのは違法ではない?

盗聴器を設置すること自体では罪は問われませんが、これは調査対象者と同居している依頼人からの要請を受けて設置したという前提であれば問題ないという意味です。

しかし、電話回線に盗聴器を仕掛けるのは有線電話通信法に触れて違法となりますし、傍受した内容を公開するのはプライバシーの侵害や電波法違反に当たります。

配偶者の浮気調査ということでプライベートな内容まで入り込んでもよいと思われがちですが、探偵という第3者を通すことで違法性を帯びる行為もたくさんあります。

そこを侵害して調査対象者から訴えられるということがないよう気をつけたいところです。

モラルに欠けた怪しい事務所は避けるべき


まともな探偵事務所はこのような違法性のある浮気調査はしません。

しかし、バレなければ何をやってもいいと考えている探偵も存在しますし、浮気をした配偶者と浮気相手への怒りのあまり、「どんな手段を使ってでも浮気を暴きたい」ということで合法と違法の見境がつかなくなる依頼人というのも存在します。

浮気調査において違法性のある行為をしないようにするには、まず依頼人となるあなた自身が気を付ける必要があります。

「うちは何でも出来ますよ」と提案してくるような怪しい探偵事務所は避け、法律に則った範囲で調査業務を行う探偵事務所を選ぶようにしましょう。